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リスク寄与度を均一にする「リスク・パリティ・ポートフォリオ」

最近の状況ですが、横ばいが続いており、可もなく、不可もなくといった感じです。 債券価格が下がって、金利は上がる!なんて記事を何度も書いてきましたが、どうもそのような気配はありません。 でも、今のような低金利が続く状況をおかしいと思っていることに変わりはありません。 引き続き、債券ベア投信を買い続けていく所存です。 ----- さて、今日は、リスク・パリティ・ポートフォリオを考えてみようと思います。 ポートフォリオのリスクは、複数の資産がもつボラティリティ(標準偏差)とそれぞれの共分散と各資産の組入比率から算出されます。 このポートフォリオのリスクが最小になる構成比率で組み合わされたポートフォリオを「最小分散ポートフォリオ」と言います。 一方、「リスク・パリティ・ポートフォリオ」は、各資産のポートフォリオに対するリスク寄与度が均等になる構成比率で組み合わされたポートフォリオを刺します。 「リスク・パリティ・ポートフォリオ」については、こちらのブログで何度も説明されており、前から気になっていました。 Masaoの「ハーバード流投資術」-資産運用をアツくしよう! http://masaolog.com/ すごく簡単なレポートがありました。 An Introduction to Risk Parity - Hossein Kazemi http://people.umass.edu/~kazemi/An%20Introduction%20to%20Risk%20Parity.pdf レポートでは、 資産Aのリスク寄与度 を算出するには、以下の式で、ということです。 資産Aの組入比率 × [{(資産Aの組入比率 × 資産Aの標準偏差の2乗) + (資産Bの組み入れ比率 × 資産Aと資産Bの共分散)} ÷ ポートフォリオの標準偏差] 資産Bについてもリスク寄与度を算出し、それぞれのリスク寄与度が均等になった組入比率で作成したポートフォリオが「リスク・パリティ・ポートフォリオ」となります。 レポートでは、「Barclay Capital Global Bond Index」と「MSCI World Equity Index」を使った「リスク・パリティ・ポートフォリオ」を例として出しています。 このレポートの結

少額投資非課税制度(日本版ISA=NISA)ポートフォリオ検討(投信積立)

来年から少額投資非課税制度(日本版ISA=NISA)が始まります。

年間100万をNISA口座で投資することで、5年間の運用益非課税の恩恵を受けることができます。非課税期間は、2014年から2018年までの第1期間と、2019年から2023年までの第2期間に分けられ、最大で10年間の非課税を受けることができます。この制度を最大限活用するためには、2014年から2018年にかけて毎年100万円、500万円の投資が必要になります。なお、2019年から2023年は2014年から2018年までの500万円を移管することも可能です。

制度の詳しい説明は、こちらのページを読んでみてください。

楽天証券 NISA(ニーサ)のページ
https://www.rakuten-sec.co.jp/nisa/

年間100万円投資することになるので、一括投資であれば、そのまま100万円を突っ込むことになりますが、毎月同額の積立で投資する場合には、100万円 / 12ヶ月 = 83,333円ずつ積立ることになります。この約8万円の投資をどこに振り分けるか、今回のポストでは、投信を使った積立ポートフォリオを考えていこうと思います。

今あるアイデアは、
  1. 株50%,債券50%を世界のGDP比率で運用する(初心者にオススメ)
  2. 株、債券、リートを同じ比率で運用する(初心者にオススメ)
  3. 年金(GPIF)と同じ比率で運用する(応用)
  4. 世界中の株式の時価総額99%で運用する(挑戦)
順番にご紹介していきましょう。

1. 株50%,債券50%を世界のGDP比率で運用する(初心者にオススメ)
以前から何度か紹介している投資信託で実現が可能なポートフォリオです。

世界経済インデックスファンド 83,333円/月
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2009011606
基本資産配分比率は、株式50%、債券50%とする。基本資産組入比率は、地域別(日本、先進国、新興国)のGDP(国内総生産)総額の比率を参考に決定し、投資信託財産の中長期的な成長を目指す。原則として、為替ヘッジは行わない。
— ファンドの特色より
日本、先進国、新興国の各国のGDP比率で運用されるファンドです。現在、日本10%、先進国が55%、新興国35%になっています。GDP比率に合わせて運用すれば負けないよね、という考えのようです。経済規模に合わせてファンド側で勝手に対象国の比率が調整されるため、投資家がGDP比率の計算と比率調整のための売買をする手間がかかりません。ただし「為替ヘッジは行わない。」ので、日本への投資10%(株式5%、債券5%)を除く90%が為替の変動を受けることになります。円安方向に進んだ場合には円ベースでプラスですが、円高方向に進むとマイナスになってしまうので、注意は必要です。

2. 株、債券、リートを同じ比率で運用する(初心者にオススメ)
こちらも以前から紹介している投資信託で実現可能です。

eMAXISバランス(8資産均等型) 83,333円/月
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2011103103
各投資対象資産の指数を均等比率で組み合わせた合成ベンチマークに連動する成果をめざして運用。原則として、為替ヘッジは行わない。
— ファンドの特色より
ファンドの名前にもあるように、日本の株式、債券、REIT、先進国の株式、債券、REIT、 新興国の株式、債券の8つの資産に均等に投資するファンドです。どの資産が今後上がるか予想できないのであれば、各資産が常に均等になるよう投資しましょう。という考えに基づいています。値段が上がって比率が上がった資産は自動的に売られ、値段が下がった資産は比率が下がるので自動的に買われます。この投資信託も「為替ヘッジは行わない。」ので、約36%は日本の資産なので影響は受けませんが、64%は為替の影響を受けるので注意が必要です。

3. 年金(GPIF)と同じ比率で運用する(応用)

このアイデアは、安定的な運用を目指す「年金積立金管理運用法人(GPIF)」のポートフォリオと同じ構成比率で運用してみようというアイデアです。国の年金を運用する以上、それなりのリスク管理がなされているだろうという前提に立っています。

基本ポートフォリオ | 年金積立金管理運用独立行政法人
http://www.gpif.go.jp/gpif/portfolio.html
  • 国内債券:67%
  • 国内株式:11%
  • 外国債券:8%
  • 外国株式:9%
  • 短期資産:5%(キャッシュ相当のため今回は組み入れない。)
日本債券インデックスe 59,000円
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2010040602
NOMURA-BPI総合と連動する投資成果を目標として運用を行う。(中略)外貨建資産への投資は行わない。
— ファンドの特色より
日本株式インデックスe 9,500円
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2010040601
TOPIX(東証株価指数、配当込み)と連動する投資成果を目標として運用を行う。
— ファンドの特色より
外国債券インデックスe 7,000円
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2010040604
シティグループ世界国債インデックス(除く日本、ヘッジなし・円ベース)に採用されている国の国債等に投資し、同インデックスと連動する投資成果を目標として運用を行う。(中略)原則として、為替ヘッジは行わない。
— ファンドの特色より
外国株式インデックスe 7,500円
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2010040603
MSCI コクサイ指数に採用されている国の株式に投資を行い、同指数(円ベース)と連動する投資成果を目標として運用を行う。(中略)原則として、為替ヘッジは行わない。
— ファンドの特色より
円建て資産の比率がものすごく高いので、円建ての評価額上は安定した成績となるかもしれません。ただし、外貨建て資産への投資比率は17.47%となり、円安に弱いのではないかという懸念はあります。また、国内債券の比率が最も大きく、このところの「異次元の緩和」と株高により、債券価格が乱高下している状況で、今の相場環境では、決して安定的とはいえないポートフォリオではないでしょうか。

年金運用と同じポートフォリオでは、大きく儲けることはできると思えませんし、年金という形で投資しているという意味では、すでに保有しているポートフォリオとも言えます。自分の資金で運用する意義はそこまで大きくないのかもしれません。ただ、自分たちの年金がどのようなポートフォリオで運用され、どのような値動きになるのか知る意味では面白いと思います。

4. 世界中の株式の時価総額99%で運用する(挑戦)
最後に考えたのがすべて株式で運用するポートフォリオです。これまで考えてきたポートフォリオ例と比べると非常にリスクが大きく、値下がりの際には、精神的にツラい想いをすることもあるかと思います。預貯金である程度資産を持っていない方には、おすすめできません。

日本株式インデックスe 5,500円
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2010040601
TOPIX(東証株価指数、配当込み)と連動する投資成果を目標として運用を行う。
— ファンドの特色より
eMAXIS 全世界株式インデックス 65,000円
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2010072001
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本、円換算ベース)と連動する投資成果をめざして運用を行う。原則として、為替ヘッジを行わない。
— ファンドの特色より
EXE-i グローバル中小型株式ファンド 12,500円
http://www.morningstar.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=2013051303
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス・スモールキャップ(円換算ベース)を参考指標とし、中小型株式の基本投資割合は、米国50%、米国を除く先進国40%、新興国10%とする。原則、為替ヘッジを行わない。
— ファンドの特色より
「eMAXIS 全世界株式インデックス」が連動を目指す「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」は世界の株式時価総額の約85%をカバーし、「EXE-i グローバル中小型株式ファンド」が参考指標とする「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス・スモールキャップ」は、その約15%をカバーします。2つの指数を合わせると世界の株式の時価総額99%をカバーできます。ただし、「eMAXIS 全世界株式インデックス」は、「除く日本」となっているので、「日本株式インデックスe」を追加しました。

基本的には、世界の時価総額の85%と15%をそれぞれ参考としました。「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」のうち、日本株比率は「iシェアーズ® MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス・ファンド (ACWI)」の比率8.2%を使い、ポートフォリオ全体では、85% * 8.2% = 6.97% となります。この6.97%を「日本株式インデックスe」で補い、「eMAXIS 全世界株式インデックス」は、日本株比率を引いた約78%とし、「EXE-i グローバル中小型株式ファンド」は、日本株も含まれることから、カバー率をそのまま使い15%としています。

このポートフォリオでは、「日本株式インデックスe」に投資する6.97%と「EXE-i グローバル中小型株式ファンド」内で投資される1.33%(15.00% * 40% * 22.17%)が日本株式への投資比率になります。ですので、91.70%(100% - 6.97% - 1.33%)について為替変動の影響を受けることになります。

ボラティリティが大きくなる分、積立に向いているポートフォリオではあると思います。ただ、株高と言われる今考えると少し気が引けるポートフォリオだと感じますね。


まとめ
さて、今回は、投信で積立用のポートフォリオを考えてみました。初心者におすすめの1本の投信で解決するポートフォリオから、勝てないけど負けない年金運用ポートフォリオ、最後は世界中の株式のみに投資する挑戦的なポートフォリオなど、どれもコンセプトとして面白いアイデアではあると考えています。

結果的にどのポートフォリオが儲かるか、こればかりは事前にはわかりません。ただ、自分なりのコンセプトを持ってポートフォリオを組んで、運用する楽しみも感じていただければと思います。

今後もNISAに向けてのアイデアを乗せていこうと思いますので、引き続き応援おねがいします。

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